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書籍・雑誌

2020年7月14日 (火)

日本共産党と野党の大問題

 経済評論家の上念司と元日本共産党幹部の筆坂秀世の対談本です。買ってまで読むつもりもなかったのですが、ちょうど出先でぽっかりと時間が空いてしまい、購入して読むことになりました。2019年7月発行。

どちらかと言えば筆坂氏の発言が主で、上念氏は聞き役が多くなっています。筆坂氏は共産党を離党後、日本共産党についての著書をいくつか刊行していますが、およその内容はほぼ同内容です。より一般向けに大きなサイズで文字が詰まっていないこともあり、サクサク読めます。日本共産党は社会主義革命の夢を求める多くの若者が結集する政党であったが、ソ連その他社会主義国が次々に崩壊したり、資本主義化する中で社会主義という軸を失い、迷走している状況が語られます。日本共産党とソ連は対立していたので、ソ連崩壊のショック自体は大きくはなかったが結局社会主義へリアリティがなくなってしまったということがやはり大きいようです。

 日本共産党はかつては非常によく勉強し、鋭い質問でブランドを築いていました。私も大学生だった90年代は国会中継で日本共産党議員の質問を楽しみに聞いていたこともありました。現在は、結果として、反アベ以外の政策が不在となり、パフォーマンスにはしり、また、共産主義もどうでもよくなってきたので、他の野党との共闘も今や抵抗感がないのでしょう。

 上念氏はかつては左翼少年・左翼青年だっととのことです。上念氏の前書きや少年時代の回想を読むと、私と年代が近いせいもあるのか、昔の左派の雰囲気が思い出されます。確かに、ー理想的な社会の実現のためには資本家・軍国主義者・ファシスト・右翼といった人々からカネを巻き上げる悪いやつらを打倒して世なのかをひっくり返さないといけないー昔の革新はそんな雰囲気だったように思います。 上念氏は小学5、6年生の時の担任が熱心な共産党員で、その影響で左翼少年・左翼青年として若いころを過ごしたそうです。筆坂氏はそんな上念氏の過去を知ったこともあって、対談本という話に進んだとのことです。

 本の終わりでは、筆坂氏は海外の会主義国家に対してご都合主義で評価をコロコロ変化させる共産党の歴史をまとめ共産党は何をする党なのかよく考えるべきとまとめ、上念氏は昔大好きだった共産党への淡い期待を述べつつもまともな意見の人を排除した共産党を変われないだろうと述べています。

 私は、共産党やその他左派系と言われる野党の本質は、かつての左派から社会主義という思想的バックボーンを取り除いて、内容のない骨抜きのものになり、反アベだけが残ったのもであろうと考えます。共産党や他の左派系野党とその支持者はこの事実をみつめるべきであろうと考えます。

 

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2020年1月31日 (金)

みてすぐわかる現代文

1985年発行の大学受験参考書。カバーによると古文(グリデン式とあり)や漢文もみてすぐわかるシリーズとして出版されていたようです。

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現在は絶版となっています。

私の本棚に読まずに長いこと眠っていました。(高校生当時も読まなかった)

現代文の入試問題を解くための20のポイントについて、簡潔に解説されている。

初めのほうに、文学史や漢字、文法の解説がある。今どきはこの辺の力の入った出題をする大学がどのくらいあるのか、現在の大学入試問題の傾向なんかはフォローしていないのでよくわからないが、あまり多くはないのではないだろうか。

今回取り出して、読んでみると、結構面白い。20のポイントは現代文の大学入試問題を解くための基礎事項であり、基本ががっちりと押さえられるようになっている。現代文が苦手な高校生だけではなく、現代文は得意だが勘に頼って問題を解いているような層にも有効であろう。

文学史やことわざを読んでいると、有名な小説などのあらすじを網羅的に把握したくなってくる。学習意欲を駆り立てられた。捨てようと御持ったけれども、もうしばらく置いておこう。

簡潔にまとめられている分、入試問題とは形式が異なることや、今となっては古風な問題となってしまっている点などから、受験直前の高校生が読むと混乱するかもしれない。高校2年生や高校3年生の1学期あたりだと、短時間で一通りの基礎固めができるので良いと思います。

プレミアム価格でこれから入手するほどの価値はないとは思うが、手に入れる機会があれば、持っていてもよいと思います。1000円以下なら買いだと思います。

 

 

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2019年10月22日 (火)

バカの壁

 だいぶ以前の本になってしまったこの本ですが、購入したまま読んでいなかったので、いまさらながら読んでみました。

バカの壁 [書籍]

 売れた本だけあって、読みやすく、サクサク進みます。初めは現代社会で重要な一般的な情報リテラシーの話、つづいて個性を伸ばすよりも共通理解が大切、個性の発揮よりも他社の理解が大切といった話などが並んでいます。

 内容的にはちょっと薄いです。なるほどと思うところもあるものの「現物のリンゴと頭の中にある情報としてのリンゴは異なる」といったような「それはそうだが・・それで?」という主張も多くあります。概ね「説教臭い愚痴」といったところでしょうか。

 そこまで極端ではないものの、「文明を忘れて、自然に帰ろう」的な雰囲気のある主張だと思います。この本を読んで積極的に何かを得られる、考えさせられるといった要素はあまりありませんでした。

 ということで、たくさんある考え方の一つとして、ちょっと読んでみるのもよいとは思いますが、私としては買って家に置いておくほどの本とは思えませんでした。まあ若い人の中にはこの本が刺さる・必要な方もあるかもしれません。

 

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2018年2月17日 (土)

戸矢学 「ニギハヤヒ」

 神武天皇の東征以前に畿内を治めていた王であるニギハヤヒについての書籍です。
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(下の画像はamzonに掲載されているもの)
 ニギハヤヒは神武天皇よりも先に畿内に天下りしていた天神とされており、神武東征の時に、神武天皇に国を譲ったことになっています。また、ニギハヤヒの子孫は物部氏となります。日本古代史上の重要人物ですが、記紀ではニギハヤヒの出身などはそれ以上説明されておらず、また、神武東征時点で国を譲ったのがニギハヤヒその人なのか、ニギハヤヒはすでに故人あり、息子のウマシマジの代の出来事であるのか、記述にばらつきがあります。
記紀では皇室の祖先の系譜は次のようになっています。
天照大神
アメノオシホミミノ命
❘       ❘
ニニギノ命  天火明命
ホオリノ命
(山幸彦、ヒコホホデミノ命)
ウガヤフキアエズノ命
神武天皇
 一方で物部氏の歴史を記した書である「先代旧事本紀」ではニギハヤヒの出自は明記されています。ニギハヤヒのフルネーム(?)は「天照國照彦天火明櫛玉饒速日尊」(あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと)となっており、天照大神の息子であるアメノオシホミミ命の息子でありニニギ命の兄である天火明命と同一神であるとしています。
 「先代旧事本紀」の通りであれば非常に面白いです。それならば、初期の天皇が物部氏の女性と多く結婚していることも納得できます。また、神武天皇と天照大神の間の本当のの世代数のヒントにもなりえます。そして、天照大神の子孫たちが各地に天下ったのではないかなどと想像も膨らみます。
 この書籍はそんな物部氏の祖にして日本史上の重要人物であるニギハヤヒについて考察したものです。
 神武天皇とニギハヤヒはどちらも天つ御璽(みしるし)をもつ天照大神の子孫ある。それなのに、先に天下っていたニギハヤヒは後から来た神武に帰順し、支配権をあっさりと譲ったように記紀には書かれています。そして、なぜそうなったのか全く説明はありません。このあたりのことについて追及してみたと筆者は言っています。
 筆者である戸矢氏は神道の専門家であり、神社や神道に関する知識を生かして、論を進めようとします。読み始めると、序盤には納得できる論もいくつかありました。特に、人は死後、神となるのであって、神と書いてあるから架空なのではなく、神とは人であるという趣旨の記述にはその通りと頷首しました。また、神となった古代の重要人物たちが全国の神社でどのくらいまつられているかというデータも参考になることがあるかもしれません。
 このような本であるため、「神道ではこのように考える、だから、この事象はこのように解釈できる。」といった議論を期待したくなるのですが、後半に進んでくると、これはこうだ、」これはこうだといった、根拠を示さない決めつけの羅列になっていっていしまい、全くロジックを追うことができなくなります。これでは議論になりません。
 ニギハヤヒという重要人物について神道の立場から迫ったという実に興味ぶかいテーマの本書でしたが、結局は論の体をなしていないものというしかありません。筆者にはぜひより明瞭な論理展開からなる探求を期待したいところです。

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2017年2月18日 (土)

卑弥呼は前方後円墳に葬られたか

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 土木学者の小澤一雅氏の著した前方後円墳、魏志倭人伝、および記紀年代等について、数理的分析を元に総合的に考察した書籍です。
目次
序章 邪馬台国を数理で読み解く
第1章 古代を解く鍵はなにか
第2章 邪馬台国論争を数理的に再検討する
第3章 古代天皇の崩年を合理的に推定する
第4章 古代の人口と政治支配
第5章 前方後円墳の形を分析する
第6章 前方後円墳の時代
第7章 海を越えて活動する倭人
第8章 邪馬台国を眺望する
終章 はるかなる古代―探究の歩みと展望

 

 安本美典氏の一連の著作に続く、数理モデルに立脚した日本古代史に関する考察です。安本氏は平均在位年数による古代の天皇の実際の崩年を推測した結果、神武天皇を三世紀末、天照大神の時代を三世紀中ごろの卑弥呼の時代と重なる時代であると主張し、注目を集めました。安本氏の示した計算方法は、歴代天皇を時代別にいくつかに区切り、それぞれの平均を求めて変化傾向を示し、初期の天皇においては平均在位年数が10年であったと推測しています。この方法については、平均を算出するための区切り方が作為的であり、少し区切りをずらすと結構替わってしまうという批判があります。

 

 小澤氏は同様の推測を行っていますが、数代の天皇の在位年数平均の変化を追跡する、院政が行われた時代を異常値として除外するといった手法により厳密化を図っています。安本氏とやっていること自体は変わらないのですが、作為的な区切り方による結論の誘導が結果に影響を与えていないことがわかりました。推計方法に起因する誤差は依然として存在するものの、天照大神や神武天皇の年代が3世紀半ばおよび3世紀末であるとの計算結果はひとつの目安を与えるものであることが確認できたと考えます。

 

 次に小澤氏は、古代人口と古墳の規模、形状という数理について考察していきます。まず古代の人口とそのなかで国家が動員できる支配人口の推計を行い、その結果を踏まえて、箸墓が卑弥呼の墓であるかどうかを検討しています。その結果、邪馬台国の支配人口では箸墓の体積を有する古墳の築造は不可能であっただろうと推測しています(逆に崇神天皇の時代ならば可能)。

 

 小澤氏は、上記のほかにも多角的な数値情報のそして、多少の文献資料の整理をおこなった上で、箸墓古墳は卑弥呼の墓ではなく、邪馬台国の所在地も九州に比定するのが妥当だとしています。

 

 小澤氏の計算結果については、他の証拠により検証し、信頼度を確認していく必要があるのでしょうが、一つの適正な析方法と結果を示しているのではないでしょうか。

 

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2015年11月10日 (火)

フーリエの冒険

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 多言語自然習得サークル(?)である「ヒッポファミリークラブ」ですが、このような書籍も出版しています。フーリエ級数やフーリエ展開を学習するための書籍です。

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 この写真だけでも、親しみやすさが伝わってくると思いますが、初歩の初歩から、本当に懇切丁寧に教えてくれます。理系の大学生または卒業生ならば、この本の「微分積分」をチラッと立ち読みすれば、どれだけこの本が分かりやすく書かれているか分かると思います(なお、微分積分の部分については理系大学生ならば読む必要はありません)。

 数学には強くないがフーリエを勉強したい方には非常に優れた本であると思います。発行からは年数が経っていますが、売れ続けているらしく、現在はリニューアルしたものが販売されています。

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2015年10月24日 (土)

日本共産党と中韓

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 元日本共産党幹部で参議院議員も勤めた筆坂秀世の新しい著書です。

 序 章 離党から一〇年 - 日本共産党とは何だったのか
 第一章 コミンテルンと日本帝国主義の戦争
 第二章 日本に具力闘争路線を押し付けた毛沢東
 第三章 中国と日本共産党
 第四章 韓国と日本共産党
 第五章 東京裁判と日本共産党
 第六章 靖国神社参拝問題と日本共産党
 終 章 二転三転し続ける日本共産党
 付 録 中国の膨張主義と沖縄

 筆坂秀世といえば中選挙区時代には旧東京1区で与謝野馨や海江田万里と議席を争っていたことが思い出されます。彼はその後参議院比例区で2回当選の後、共産党を離党しました。

 共産党離党後、日本共産党に関する著書を内部事情を交えながら多く書いてきましたが、この本は最近(2015年6月)出版されたものです。客観的な日本共産党の歴史を軸に日本と中韓の近現代について読みやすくまとめられており、おすすめできる本です。

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2015年10月11日 (日)

「古事記」と「日本書紀」の謎

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 この書籍は大阪中之島にあるロイヤルホテルの文化教室「エコール・ド・ロイヤル」で「ロイヤル日本史講座」として開催された講演を再構成し書籍化したものとのことです。

 著者は写真の通り、上田正昭、岡田精司、門脇禎二、坂元義種、菌田香融、直木孝次郎です。書店の歴史コーナーには似たようなタイトルの素人歴史家の書籍が並んでおりますが、こちらは歴史学の専門家6名が著者となっております。

 この6名の歴史学者がそれぞれ古事記と日本書紀についての考察を行っているのですが、さすがに専門家らしく、学問の世界では当然なのですが、仮説の根拠が明瞭に示され、どうしてそう考えているのかが分かるように書かれています。素人歴史家の書いた本ですと、
たまたま知った知識をもとに想像に想像を重ねてぶっ飛んだ結論になっているものが散見されるわけですが、この本では豊富な知識に支えられた安定した議論が展開されています。
 記述の中には「継体王朝」など、記紀の記述は作為による架空の物語が多く含まれるとする史観に基づく見解も見えますが、全体に論拠を明確に示している分だけ、継体新王朝説や欠史八代説などははっきりした根拠がないことも結果的に良く分かるようになっています。

 

(具体的には、岡田精司氏は継体新王朝説を採っているのですが、継体天皇が応神天皇5世孫であるという記紀の記述について「事実ではないと思います」と述べているのみで、それを裏付ける根拠としてあまりめぼしいものがあげられていません)

 

 細かい事項になってくると専門的過ぎて読みにくいところも多少あるのですが、あくまで一般人向け講座の内容を一般向け書籍としたものという範疇に収まっており、概ね読みやすく書かれています。

 

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2015年10月10日 (土)

仕事に効く教養としての「世界史」

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 ライフネット生命CEO出口氏が世界史について書いた著書です。海外でビジネスをする際には世界史や世界地理の知識があるとコミュニケーションのハードルが下がるとしています。
 私は海外でビジネスなどしたことがないので、それがどのくらい本当か全く分からないのですが、世界史に限らず仕事以外の分野で語れる教養を持っておくことは効果的なのでしょう。

 内容を読むと、世界史の通史の中で、筆者が理解したいくつかのテーマについてまとめられています。筆者はかなりの世界史好きなのでしょう、多くの知識を自分なりに再構成してまとめています。私としては、世界史が仕事に効くことなど全然ありませんが、新たな視点で歴史を見直しことができたのでとても面白く読ませていただきました。

 

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2015年6月14日 (日)

東大のディープな日本史2

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 「歴史が面白くなる東大のディープな日本史」が結構面白かったので続編も買ってみました。

 前書きを読むと、前著(以下1とします)から余り時間をおかずに2を出版したことについて、前著が予想に反して大きな反響があったこともあるが、いただいた意見に対する回答の意味も込めて出版したといったことが書かれています。

 1は読者の通史的な理解を助けるために正統派的な問題を各時代から選んだのに対して、2はより遊び心が感じられる問題を選んだとしています。

 問題に選ばれている題材としての歴史事実としては1は「平氏はなぜ政権を奪取できたか?」、「北条氏はなぜ将軍にならなかった(なれなかった)のか?」のような中学生でも知っているような事柄に対して意味や理由を追及しているのに対して2では朝廷はなぜ巨大道路を建設したか」のような比較的知名度の低い事象が取り上げられています。ただ私の感想としてはとくに問題の面白さ(や難易度)は特に変わっていないように思われました。

どちらも歴史を考察する面白さを教えてくれる良書であると思います。

 

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