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2025年12月 2日 (火)

火成岩の分類

 岩石は火成岩・堆積岩・変成岩に分類されます。そのうち火成岩とはマグマが冷却・固結して出来たものをいいます。そして、火成岩は組織によって火山岩と深成岩に分類され、また、鉱物組成または化学組成によって、超塩基性岩(超苦鉄質岩)、塩基性岩(苦鉄質岩)、中性岩(中間質岩)、酸性岩(珪長質岩)に区分されます。


Photo_20251130183601

啓林館の高校学教科書より

https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/digital/taiken/kou/rika/tigaku_h26/sencor/earth_p20.pdf

 デーサイト(デイサイト)とは本来は流紋岩と安山岩の中間的な化学組成を持った火山岩なのですが、啓林館の教科書では昔から流紋岩と併記されて酸性火山岩にまとめられています。おそらく、「酸性岩と中性岩の中間」などという説明を加えると、高校地学の内容としては煩雑になりすぎ、かといって、「デイサイト」はよく使われる岩石名であるため削除も望ましくないとの判断で、折衷案としてこのような記述になっているのでしょう。超塩基性(超苦鉄質)の火山岩は珍しいために高校地学では省略されていますが「コマチアイト」という火山岩が相当します。またかんらん石斑晶が多く、超塩基性(超苦鉄質)またはそれに近い火山岩として「ピクライト」という岩石もあります。


 塩基性(苦鉄質)岩、中性(中間質)岩、酸性(珪長質)岩の区別は化学組成または色指数(構成鉱物に占める有色鉱物の割合)によって区別することとなっています。分ける基準が2種類あるので、混乱するかもしれません。本来は岩石の見た目に対応する色指数による分類法が基本であろうと思います。なお、塩基性、酸性という分類は化学組成による分類であり、苦鉄質、珪長質という分類は色指数による分類です。

 火山岩の場合は急冷時に形成されたガラスをよく含んでいます。ガラスは鉱物ではなく、有色、無色の区別がありません。ですので、ガラスが存在すると、色指数を正確に決めることができなくなります。また、ガラスを含まない場合(完晶質という)でも、火山岩は細粒であるため、鉱物の量比を測定することは難しくなります。そのため、火山岩の分類には色指数よりも化学組成がよく用いられます。

 火成岩の化学組成がアルカリ元素であるNaとKに富む場合は、アルカリ岩に分類され、これらの岩石名とは別の岩石名(ベイサナイト、粗面岩など)がつけられます(アルカリ岩でも比較的アルカリ元素が少ない場合は岩石名は非アルカリ岩の名前のまま)。アルカリ岩は非アルカリ岩に比べてSiO2に乏しい化学組成を持っています。アルカリ岩の分類については、色指数によって非アルカリ岩と同様に苦鉄質、中間質、珪長質に分類されます。

 化学組成による火山岩の分類としては、教科書のとおり、SiO2 含有量が45%,52%,66%を境界として、超塩基性、塩基性、中性、酸性に区分されます。非アルカリ火山岩の場合はそれぞれに対応して一般的にはコマチアイト、玄武岩、安山岩、流紋岩という岩石名をつけます。アルカリ岩の場合はSiO2に乏しいのですが塩基性岩、酸性岩の定義は非アルカリ岩と変わらないため、アルカリ元素が多い場合には鉱物組成は珪長質岩であるが、化学組成は中性または塩基性という場合が起こります。

 デイサイト(デーサイト)は安山岩と流紋岩の中間的な火山岩ですが、安山岩とデイサイトの境界は63%、デイサイト(デーサイト)と流紋岩の境界は69-77%(Na2O+K2O含有量によって異なる)とされています(Le Bas et al., 1986)。また、玄武岩と安山岩の中間的な火山岩として、玄武岩質安山岩(SiO2 =52-57%)という岩石名が使われることもあります。そして、玄武岩質安山岩のうち、比較的SiO2に乏しいしいものを玄武岩、比較的SiO2に富むものを安山岩とすることもよく行われます。

 高校教科書において、塩基性岩と中性岩の境界、中性と酸性の境界が52%、66%と明記していながら玄武岩と安山岩の境界、安山岩と流紋岩の境界がそれぞれ約52%、約66%と”約”がついているのは上記2つの段落で述べたようなややこしい事情があるためです。玄武岩と安山岩の境界問題については項を改めて書きたいと思います。

 なお、大学入試の場合は出題者である大学の教官は専門家であるため、微妙な組成の岩石名、たとえばSiO2を53重量%含むの火山岩の岩石名を問う、といった問題を出しません。従って、大学受験対策の場合は、塩基性岩、中性岩、酸性岩の境をSiO2 = 52%,66%と覚えていてもかまいませんし、塩基性岩は約50%、中性岩は約60%、酸性岩は約70%と覚えておいてもかまいません。

 

引用文献

Le Bas, M.J., Le Maitre, R.W., Streckeisen, A. & Zanettin, B. (1986)  A Chemical Classification of Volcanic Rocks Based on the Total Alkali-Silica Diagram. J Petrol 27(3): 745-750.

https://doi.org/10.1093/petrology/27.3.745.

 

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