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2024年6月30日 (日)

アーサーホームズ「一般地質学」

 71zu6xofhns_sl1500_    画像はアマゾンより

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 アーサーホームズ氏の著による地球科学の入門書の日本語訳です。

 3冊に分かれており、上田誠也・貝塚爽平・兼平慶一郎・小池一之・河野芳輝の5名の日本人地球科学者によって翻訳され、1983~1984年にかけて発行されました。

 英文の原著は初版が1944年に発行されました。なお、この初版本はA5版532ページからなり、こちらで読むことができます。最終章では、当時支持者が非常に少なかった大陸移動説について述べられており、大陸移動の原動力として彼が提唱した、マントル対流説について解説されています。第2版は1965年に発行されました。ホームズが研究した年代測定法など、初版以降の地球科学の進展による新知見が盛り込まれ、B5版1288ページと初版に対し倍以上の分量となりました。また、岩石や鉱物の記載なども充実が図られ、本格的な教科書となったようです。

 アーサーホームズはこの1965年に惜しくもなくなってしまいましたが、その後、妻のドリスホームズ氏によりその後の地球科学の進歩を取り入れた改訂版である第3版が1978年に刊行されました。

 第2版が執筆された時期は、海洋底の古地磁気調査によって海洋底拡大が発見され、地球物理の分野においてプレートテクトニクスが確立し、それまで異端であった大陸移動説が復活した時代でした。プレートテクトニクスを解説している文章からは、その後の改訂と日本語への翻訳を経てなおこの時代の興奮が感じられる気がします。

 プレートテクトニクスが地域地質に適用されるのはもっと後の時代になってからであるので、そのあたりの解説はあまりありませんが、地質学に関する主要な古典的論争が読みやすい日本語訳できれいな写真と図とともに包括的にまとめられており、これらを確認するためにも良質な教科書となっております。

 

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