I種試験に替わる産業技術総合研究所のその後の募集
産業技術総合研究所の博士取得者の選考採用以外の研究職採用のその後について、書いておきます。
それまでの経緯をおさらいすると、産総研前身の工業技術院は旧通商産業省の機関であり、工業技術院傘下の研究所に所属する研究員は通商産業省職員(通商産業技官)であることから、原則として国家公務員採用I種試験により採用されることとなっていました。採用試験を通さない選考採用は特に必要な場合に博士号取得をI種試験合格と同等以上とみなして、特例的に行うというたてつけであったようです。はじめは、公務員試験者からの採用予定を計上しておき、合格者の中に必要な分野を専門とする人物がいない場合に、選考採用が認められていたようです。昭和末あたりから、特に必要な分野について、はじめから選考による募集という形態が認めらあれたようです。
選考採用には任期なし(定年制)と任期付きがありますが、本省である通商産業省は研究職の任期付き任用に積極的でした。採用枠がまず任期付きと任期なしに分けられ、任期なしが選考採用とI種試験からの採用に分かれていました。次第に任期付きの選考採用が増え、その分、I種試験からの採用は減少傾向になっていったようです。
国の機関としての工業技術院は平成12年まで存続しました。平成13年度の採用者を決定する平成12年の選考については、従来のスキームで実施され、採用予定数表にはある程度の数が出てはいましたが、その年の実際の採用者は地質調査所1名、計量研究所1名の計2名のみとなっていました。
平成13年度からは通商産業省工業技術院は独立行政法人産業技術総合研究所となりました。職員の多くは国家公務員であったため、公務員採用試験からの採用対象ではあり続けましたが、経済産業省の機関ではなくなったため、公務員試験から職員を採用する理由付けは弱まりました。研究所職員については任期付き選考採用を基本とし、任期なし採用は一部にとどまる、そして任期なしを採用する場合に選考採用のほかI種試験からの採用も「あり得る」というくらいの位置づけとなりました。
工業技術院傘下の各研究機関はそれぞれ独立に職員の採用を行っていましたが、産業技術総合研究所という一つの組織による一括した採用となったため、職員採用の実施については模索があったのでしょう、もはや特殊となってしまったI種試験からの採用について、どのように進めるべきなのか、混乱していたように見えました。(各研究ユニットには工業技術院時代のように人事院からの照会は来なくなった。採用予定の照会は産総研に対して行われるが、産総研の事務としてはその取扱い方針がはっきりしないといったように見えました)。結局初年度の平成13年の試験採用(平成14年採用)については、試験からの採用に非常に積極的な旧計量研究所が2名採用したのみでした。その後、平成14,15年試験からの研究職採用がなされませんでした。
平成17年から産総研が非公務員型へ移行となることが決定しましたが、そこで「最後なのだから試験からも採用しよう」ということになり、平成16年は一回限りの研究職職員募集が行われました。人事院からの資料によると5人程度の書きぶりでしたが、実際に採用された人数はわかりません。
平成17年からは公務員試験からの採用に代わって、独自試験による採用(旧年度国家I種合格者は1次試験免除)が実施されました。初めは全分野の研究職を対象とし、一次の公務員試験の教養試験のような試験と2次の面接による選考が行われました。やがて、採用分野が計量標準と地質図幅の2分野に絞られました。 地質と計量分野の採用は平成23年まで続き、平成24年からは計量分野のみ募集となりました。その後、修士型研究員という名称となり、修士以上の若手研究者を採用しているようです。また、筆記試験がなくなり、公務員試験の合格者へ特例措置もなくなりました。現在は地質の募集も復活しています。
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