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2019年2月16日 (土)

高音質ケーブルの条件1

 タイムドメイン由井社長の指摘通り、ケーブルによる音の変化を支配するものはケーブルを伝わる音波(縦振動)であるということで、高音質のケーブルの条件は音波(縦振動)を伝えにくいケーブルであるということになります。
 タイムドメインの製品としては、振動を伝えにくくするため、Yoshii9のスピーカーケーブルとして柔らかいシリコン皮膜を使い、0.2sqと細くヒョロヒョロのライカル線を採用しています。また、アンプYA-1の内部配線は毛のような超極細の電線を使用しているようです。
 そのほか、製品にはできないやり方ですが、皮膜を剥いだケーブルにガン玉(釣りのおもりに使う鉛玉)を加締めて防振するという手法を示しており、一部のタイムドメインファンはそのような自作ケーブルを使用しているようです。
 ということで、答えが示されているものではありますが、この答えについてどうなのか一応調べてみたいと思います。
 
 まず、金属などの固体を伝わる音波の減衰について調べてみようとしてのですが、ズバリ書いてあるものは見つかりません。波の減衰については利用があまりされていないためと思われます。減衰率については、波の速度と関係があり、速度が速いほど減衰が少なく伝わりやすいということのようです。
 固体を伝わる音波の速度については、工業製品材料の厚さ測定や土木構造物の損傷診断などの応用分野があるためかまとめられたものが容易に見つかります。例えば下記のような資料があります。
https://www.olympus-ims.com/ja/ndt-tutorials/thickness-gage/appendices-velocities/
http://5mhz.site/archives/263
https://www.dakotajapan.com/mpseries/point/speed-sound.html
2番目のサイトには音速を求める公式があり、
とあります。
オーディオに使いそうな材料を含んで縦波音波速度の数字を拾ってみると
                                                                                                       
シリコーンゴム
1,000m/s
水銀 1,450m/s
1,500m/s
テフロン
1,520m/s
低密度ポリエチレン
2,080m/s
2,160m/s
ポリ塩化ビニル(PVC
2,395m/s
高密度ポリエチレン
2,460m/s
アクリル(パースペクス)
2,730m/s
ガラス繊維
2,740m/s
3,250m/s
3,320m/s
鋳鉄(軟質)  3,500m/s
3,610m/s
プラチナ 3,960m/s
黄銅
4,430m/s
4,660m/s
鋳鉄(硬質)
5,600m/s
ニッケル
5,640m/s
マグネシウム
5,840m/s
酸化鉄(磁鉄鉱)
5,890m/s
チタン
6,100m/s
アルミニウム
6,320m/s
シリコン
9,620m/s
ベリリウム
12,900m/s
ダイヤモンド
18,000m/s
 
(ただし、シリコーンゴムはhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/koron1944/14/152/14_152_620/_pdf/-char/ja
によった)
 これらは、おそらくは塊状で標準的な状態の速度を示したものなのだろうと思われます。リンク先の記事に注釈があるものもありますが、「これらの物質内の実際の音速は、具体的な組成や微細構造、粒子または繊維の配向、多孔性、温度など、さまざまな要因により大きく異なることがあります。」と書かれており、あくまで目安であるとの注釈があります。そして、資料により数字のばらつきが結構あります。また、材料による固有の鳴きも音に影響するはずですし、ケーブルならばたわんだ状態と張った状態では違います。ですので、ここからどの材料が良いか直接判断できるものではありません。
 それでも、数字を眺めてみると、やはり柔らかいものは速度が遅く、固い(硬い)ものは速度が速いという傾向が分かります。そして、ニッケルメッキよりも(低速度の)金メッキがよいのかとか、使いどころによっては制振材として有効な鉛もやはり低速度なのかといった感想も浮かびます。鉛のケーブルを作ってみたら高音質だったりするのでしょうか(作るには大投資が必要だと思いますが)。音速の公式から行くと密度の高い物質のほうが低速度になりそうですが、低密度ポリエチレンよりも高密度ポリエチレンの方が高速度であるところをみると、密度を上げることにより、体積弾性率や剛性率がより上がるのだろうと思われます。水銀はかなり低速度ですが、水銀で作ったケーブルは電気抵抗が高いにもかかわらずなかなか音が良かったという話(個性的な音との試聴記もありますが)も思い出します。
なお、固体の音波(振動)速度を低くし、音波(振動)を減衰させる構造としては、「気泡」や「傷」があります。傷が入った電線だとか気泡入りの電線(作れるかどうかわかりませんが)とはあまり現実的でない気がしますが、現実的には接点を入れてやるという方法はあります。由井社長は振動を遮断するという発想でケーブルの間にキャノンコネクターを挟むことにより振動の遮断を試みたことがあったとのことです。その結果は音質的には悪化してしまったとのことであり、接点による振動対策は電気的な不利が大きく効果が出にくいということだろうということだと思います。ただし、皮膜については傷とか気泡というやり方も「あり」かもしれません。ラダーケーブルの音質評価が割と高いのは、皮膜が連続していない構造であることにより皮膜を介した振動伝播が少ないことが主たる原因ではないかと私は考えています。
 
 ということで、傷などがないまともな銅線について、状態の違いによる物性の違いを知りたいわけですが、どうもネットで普通に検索する程度ではあまり情報が出てきません。
「銅」や銅線ないし金属線の硬さについて調べると、わかることはこれくらいです。
・硬くなった銅を焼きなます(アニーリングする)と軟化する。
・強度が要求される硬銅線は常温で線引加工することにより製造される。硬銅線をアニーリングすると軟銅線となる。
・純度が高いほうが低温でアニーリング効果がある。超高純度の細線では常温でも軟化する。
・太い電線は曲げた時の最大歪が大きいため曲がりにくく、細い電線は曲がりやすい。
・太い金属線は硬く、細い金属線は柔らかい傾向となる。
電線が細いほど「柔らかく」なりやすいことは事実のようですが、この「柔らかさ」とは曲がりやすさだけを意味しているのか、それともそれに伴って縦振動も伝えにくくするような柔らかさなのかはよくわかりませんでした。直感的には後者だと思うのですが、物理学的な裏付けは見つかりませんでした。
銅や金属の一般的な性質を調べる方法はこのあたりが限界のように思うので、また別の方法を考えたいと思います。


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オーディオ」カテゴリの記事

コメント

私の 経験では 金属の 種類を 問わず 細い導体は アンプ内配線 SPケーブルに おいても良い結果が 出ませんでした アンプ内パーツも 米粒の ような部品で構成したアンプは それなりの 音しか でません。 きっと 損失が 多いのでしょうね 極細の導体に 電気を通すと 熱を持ってしまいます  オーディオ信号も 電気エネルギーです  又 極細の導体に テスターを あてただけで 抵抗が 発生します これを どう考えますか 熱に変わってしまうと いうことに なります 私 細かい計算式は わかりませんが すべて実験結果です。 もし お気に さわったら 水に 流して 下さい

広野 さん 

>これを どう考えますか
とは、技術的見解(ないし反論)を述べよ、ということでしょうか?

ただこれだけの内容では、コメントしにくいですね。

せっかくコメントを」いただいたので、何とか書いてみたいと思います。


金属の種類を問わずとあります。銅以外の金属は電線の選択肢が少ないと思いますが、どのくらいの種類を試したのでしょうか?

アンプ内配線とありますが、アンプを多数自作されたのでしょうか、それとも多くの市販アンプを分解して調べたのでしょうか?SPケーブルも自作されているのでしょうか?

SPケーブルについては超極細(または超長尺)の場合はダンピングファクター不足による弊害が発生します。これについては改めてエントリーを立てたいと思っていますが、市販ケーブルにおいてはそこまで細いものはないと考えています。

「良い結果が出なかった」、「それなりの音しかでない」とありますが、具体的にどのような音でしたか?

極細の導体に電気を通すと発熱することは事実ですが、オーディオ製品において、電線の発するジュール熱が支障となったという事例を知りません。実験結果とのことですが、それはどのような実験ですか?

世の中には音の忠実度にかかわらず、太めのケーブルの音を好む方もおられます。太いケーブルの方が「力強い」「濃密」といった感想があるようですが、私見ではこれらはケーブルの共振音や付帯音を好んでいるのということであろうと考えていますが、このようなことをしっかりと論じるためには検聴者の評価をしたうえで考える必要があります。


人間が聞くことのできる音の違いはきちんと測定すれば測定結果の違いとして現れるので、他人に疑問を抱かせない形で違いがあることを示そうと思えば、音の変化をもたらすであろう妥当なモデルを考えて測定系を組み、実際に測定してみれば良いのですよ。SPケーブルに関しては昔に論文が出ていて「ケーブルによって違いが生じうる」のは分かっているらしいので、個人的にはインターリンクケーブルでも同じようなことが示せるのかどうか興味があるところです。

ちなみに海外には液状の導体を使ったケーブルを製品化していると言うメーカーが2社あるのを把握しています。1社は液体金属と、もう1社は液状ポリマーと称しております。自分が過去にアクティブSPを使っていた=概念的にはプリアンプとSPをインターリンクケーブルで直接接続する形になる=都合上、ケーブルの違いが否応なしに拡大されて聞こえていたもので、一度調べておきたいと思い始めています。

オッシレータ、歪率計、オシロスコープ等を中古で揃えれば、件の液体金属ケーブルを買ってもおつりが出るお値段なので試してみたいのですが、測定機器なんて私には猫に小判なので、知っている人に教えを請うところから始めないといけないのでまだ実行に至っておりません。

広野 さん

回答がないようなので、「これをどう考えますか」という問いかけに対してはいまのところ評価不能としておきます。
特にレスがなくても一向にかまいませんが、もし気が向きましたら、また書き込んでください。

RSOさん こんにちは

>人間が聞くことのできる音の違いはきちんと測定すれば測定結果の違いとして現れる

 それはまだ相当難しく、まったく実現していませんよ。人間の耳だとちょっとした演奏の抑揚の違いなんかを聞き分けますが、それを2つの録音データを測定して比較しようとすると、抑揚以外の違いが大きすぎて、単に違うとしか認識できないでしょう。
 インパルスのような単純な波形ならば、測定して良し悪しを判断するということはありだと思いますがあまり例を見かけません。周波数特性や歪率(ケーブルだとあまり差が出ません)だとどれが良いのか全然わかりません。

>液状の導体を使ったケーブル
液体ならば一般的に個体よりも振動を伝えにくいのでその意味では有利であり面白いと思います。液体を導体とする場合は、封入するチューブを経由して振動が伝わるので、そのチューブの性状が影響するでしょう。また、接点の安定性も課題になると思います。

レス有り難うございます。もしも音色や表現、そして演奏と表現すべき音楽の性質を数値で表す事ができて、しかもそれによって優劣が比較できると考えている人間がいるとすればそれはそれで面白いお話ですね。

ところで人間が主観的に音質を判定する上で最も鋭敏に判断できるのは周波数応答らしく、これに関する試験のデータをハーマンインターナショナルが熱心に溜め込んでいます。そこから出てきたお話が、(1)人間は外観に著しくだまされやすいので本来の意味での音質の評価には二重盲検試験が必須、(2)二重盲検試験下で周波数応答の平坦性や広さと主観とが結びついた形で音の良否を的確に評価できる人のグループと、それができない人のグループがある、って事で、試験する対象を眺めながら試聴している後者に属する人の判断を聞いている限りは「音の良否は測定器では測れない」になるでしょうね。ちなみに人間は音の歪みに関しての判断は鈍く、位相に関しては一貫した判定すら難しいらしいです。

なお測定器に掛けても人間の可聴限界未満の違いしかないはずなのに音を出してみると明らかに違って聞こえるのであれば、それは違いを想定したモデルが不適切で測るべきものを測っていないか、測定手段そのものが劣悪ないし間違っているか、もしくはプラセボ効果と言うことではないでしょうか。前回書き込ませて頂いたSPケーブルの違いによる音質の変化を報告した論文も、ケーブルの静的な数値上の性質を比較するのはもちろん無意味で、またアンプに抵抗器負荷を繋いで測定しても違いは認められず、実際のSPを繋いで駆動してはじめて検出できたと言う話です。

アンプにとってSPを駆動することは一般の人が想像する以上に過酷な作業で、抵抗器負荷ではじき出したカタログスペック上は各々のアンプによる音の違いなど聞こえるはずがない(人間の耳では約0.3%未満の歪みの存在は分からない)にもかかわらず、アンプが変わるとSPから出る音が変わる理由もそこら辺りにあるらしいです。

RSOさん

ちょっと話が分散して来たように見えるので、どう返したらよいか?ちょっと迷います。
話を絞って
「人間が聞き取れる違いは必ず測定できるか」ということについて、レスを書いてみます。

>測定器に掛けても人間の可聴限界未満
実に簡単に言いますが、それはどのような指標を言われているのでしょうか。人間の耳は歪み率には鈍感であるとか正弦波ならば10kHz代後半から上は聞こえないなど測定器に劣っている要素はたくさんあるでしょう。一方で測定では人間の耳に比べてとらえにくいものがあるはずです。

楽器の音質だとか、演奏の抑揚といった題材では議論がかみ合わなさそうなので、それでは

フルオーケストラで多数の楽器が音を出しているときにあるパートの音程が少し狂ったら測定では難しいと思いますがどうでしょうか・・・・・?

・・・いや、これでも考えにくいかもしれません。

それでは音楽CDをリッピングするときに使用する光ドライブを変えてリッピングして2種類のバイナリが一致しているWAVファイルを作ってそれを再生したときに聞こえる音の違いは測定でわかりますか?

バイナリ一致ファイルなので、波形は測定してみてもほとんど変わらないと思いますがどうでしょうか。

これについてはドライブ違いのファイルをネットにアップしてくれた人がいたのでネットの掲示板で試してみたことがあります。

違いが判るという方とわからないという方がいました。もちろんバイナリ一致なので、デジタルデーターから波形を調べても完全一致しています。ある方は両社を一度DA変換してから録音して比較してくれました。一応両者の差分をとると周波数特性の差がわずかに検出されましたが、録音時のノイズの違いなのか判断し難い様でした。

私はfoobar2000のABXプラグインを使ってダブルブラインドテストをやってみたところ有意となり、違いを聞き取れていることが確認できました。これは以前に記事にしています。
http://cookietk.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-e287.html

丁寧なレスを有り難うございます。音楽によって自分が感じるものを満足のいく形で言語に置き換えるのは実際上不可能ですし、それを他人に伝えるようとすると更に変化を受けた内容しか伝わらないものだと考えているので、よんまる様が仰りたいことを私があまり理解できていないと思います。以下に私が書く事柄も御希望のものとは方向性がずれているかと存じますが一応書かせて頂きます。

>...あるパートの音程が少し狂ったら...
に関しては、実用上はフーリエ変換の利用となるかと思います。foobar2000のspectrogramで見られるやつです。しかしその分析結果で、あるパートの出したある音が時間的にあるいは音程面で正しいか間違っているかの判断は、昨今のAIの発達を考慮すると機械が楽譜と比較しての判定ができるようになる可能性は否定できないかもしれませんが、まずは人間が行わざるを得ないでしょう。データ化された音声の音程やコードの機械解析までならSonic Visualiser等のソフトウェアや、はたまたそれを編集できる=複数のパートが録音された音声データ中のあるパートの音声のみを変更する事ができる=と謳っているMelodyne社のソフトウェアなんかがありますね。前者を昔にごく短期間だけ利用したことがあるものの製品名ごと忘れていました。

バイナリ一致のwavファイルが異なって聞こえるお話については、デジタルオーディオを支える理論ともそれを具現化する工学とも相容れない事なので、その事実に真実性を持たせるためにはきちんとした手続きが行われたことを示す必要がありますね。バイナリ一致とするからにはWindowsならfcコマンドで示せるのかもしれませんが、それよりもファイルのハッシュ値の一致を確認した事を示したほうが手っ取り早いと思います。そして最終的には中立の監視者の下で試験を行わざるを得ないでしょう。偶然の可能性が3%未満と言う事であれば、1人あたり10回まで試行を認める条件で5人に1人は偶然に過ぎなくても違いが認められる結果を出せるわけで、回数制限を外せばさらに人数は増えることになります。そして大概は違いが認められたとする結果の方が報告として上がりやすいため、世間からはそちらが目立つ形になります。これは公表バイアスとか呼ばれるものですが、そのような疑いを排除して他者を十分に納得させるためには、他者が検証できる形での試験が求められます。

RSO さん

 フルオーケストラのアルパートの音程の例で言いたいことは、たくさんの楽器が同時になって音楽を構成している中で、あるパートごとの音をそれぞれ区別して聞く能力は人間が勝っているだろうということです。
 このような場合はプロ指揮者のような人間ならば即座に指摘できますが、測定ではどうかというと難しいだ取ろうと思います。なお、音程が正しいか正しくないかが機械にはわからないという問題であれば、正しい音程の演奏と正しくない演奏を比較して差が検出できるかという問題に置き換えて考えれば、測定による音程の正しさ判定の困難さという問題を回避できます。

 蛇足ながら、音程が少し狂うとは、楽譜上の音符の位置がずれるほどの違いではありません。それはどちらかと言えば弾き間違い(ピアノならばミスタッチ)というものです。楽譜上同じ位置に書かれた、階名上同じ音であっても、調が違えば音の高さは異なります。さらに、前後の音やほかのパートの音との調和を勘案して音程を微妙に調整しなければなりません。
そのような中での極微妙な音程の違いをフーリエ変換なんぞでうまく検出できるでしょうか。
また、例えばこの音程という要素について、可聴限界とはどのくらいなのか、イメージは持たれているのでしょうか?もし、それがないとしたら、可聴限界未満という用語を使用していてもその実体がないということになると思います。

 ほかに測定に比べて人間が優れている例としては、録音の逆回し再生なんてものも挙げられます。(逆回しの再生ならば、比較試聴などするまでもなく人間には即座にわかりますが、測定ではわかるにはわかるのでしょうが、すぐにとはいかないのではないでしょうか。周波数特性や歪率は同一になります)

 wavファイルに例については、このレスを見て理論的にあり得ないと主張する方がおられることを久しぶりに思い出しました。同じデータでも再生音が変わることはあまりにも日常茶飯事であり、空気のように当たり前であったために、すっかり忘れておりました。
 データが同じでも音が変わるということについて、万人が納得する証拠を提示するということであるならば、確かにご指摘のような手続きが現実的でしょうね。といっても、当ブログは万人を納得させることを目指してはいないため、そのような取り組みを行うつもりはありません。事実が特定できれば良いという立場です。データが同じでも音質が変化すること論拠についてはしたがってご指摘のような公開ブランドテストのようなものではありませんが、自分が聞き取れたということ以外に十分に持っているつもりです。

私はかつてリコーダーを吹けるようになろうと練習していた時期がありまして、またその頃聴いていた音楽と言えばバロック音楽ばかりだったのですが、後にピアノ曲を改めて聞くようになった当初は平均律の汚さに軽い吐き気を覚えたものです。しかも音程が左手に向かうと低い方に、右手に向かうと高い方に外れていく...。今はもう平気になりましたが。

さてコンピュータ上での周波数解析に利用するのは高速フーリエ変換=FFTなるものですが、FFTの周波数分解能は解析にかける音声の時間の逆数になるとされています。1秒のデータを解析に使えば1Hzの分解能となり、もし10秒連続でデータを解析すれば周波数分解能は0.1Hzになります。一方心理音響学の実験から人間が最も周波数の変化に敏感だと分かっている正弦波に関して、500Hz以下の周波数域で人間によって音程が変化したと判断できる限界が1Hz位らしいです。またそれより周波数が高い領域では周波数に対して約0.2%が弁別限界となっています。人間が楽器などの音を判断する時には基音だけでなく高調波も同時に聞いて判断するので、基音のみを聞くよりも分解能が上がる形になります。

なお音は波の性質を持つ以上は不確定性原理の支配下にあるので、周波数分解能を上げるほどに時間分解能=その音がどの瞬間から始まり持続し消えていくのか=がどんどんと曖昧になっていきます。これは物理学的な制限なので、基本的に解析するものが機械か人間かの区別はありません。

ところで近年のポップスなどの録音では逆再生の音声をミックスしたものも結構あったりしますが、音声信号のスペクトルの変化やエンベロープを微分でもすれば順再生か逆再生かは一目瞭然なのではないですかね。ただし近年はエンベロープシェイパーとか言う、任意の音声に好みのアタックやらディケイやらのエンベロープをリアルタイムで着けるツールも存在するので油断できないのは確かです。

同一であるデジタル音声データの音質が異なって聞こえるはずがないと主張する人たちに関しては、かつてはCDプレーヤのメーカーが、自身の製品について理論から導き出されるものとはかけ離れて劣悪な性能しか持っていないのを隠すために、メーカーに都合の良い理論値ばかりを喧伝し、実際に音質を左右する要素に関する情報を隠蔽していた、もしくは理解すらしていなかったのにもいささか原因があろうかと想像しています。現代になっても消費者に対するメーカーの態度がそれほど改善したとは思いませんが、幸いにして探せば有益な情報が手に入りますし、マルチビットΔΣADC/DACの時代が訪れて久しく、またSPの性能も旧世紀からは格段に良くなってきているらしいので、個人的には事態は良い方向に向かっていると感じています。

>1秒のデータを解析に使えば1Hzの分解能となり、もし10秒連続でデータを解析すれば
>周波数分解能は0.1Hzになります。一方心理音響学の実験から人間が最も周波数の
>変化に敏感だと分かっている正弦波に関して、500Hz以下の周波数域で人間によって
>音程が変化したと判断できる限界が1Hz位らしいです。またそれより周波数が高い領域
>では周波数に対して約0.2%が弁別限界となっています。

 なるほど、かなり知識を持ちのようです。
1秒間とは楽曲の中の音の持続時間としては短い部類であるので、これだけ見るとより短い時間でも1Hz差が判別できるならば人間の方が精度が高いように見えます。

 人間の音程判別の精度については、純正律と平均律の音程差が参考になると思います。
「ミ」の音ならば音程差が大きく、和音で聞けば誰でも区別できますが、周波数の差は0.8%程度です。音感の鋭い人が四分音符=130のテンポの8分音符について平均律の「ソ」と純正律の「ソ」が判別できるとすれば、0.23秒の音について0.13%の周波数差が感じられることとなります。


>音声信号のスペクトルの変化やエンベロープを微分
 それは、逆再生の可能性を知っているから思いつくことではないでしょうか?逆再生とは極端な例なので、わからないということはないのでしょうが、たとえば周波数特性や歪み率などいつも測定する要素が同じであった場合、さらなる追求をして、「測るべきもの」を見出せるのかという問題があると考えています。

 同一デジタルデータの再生で音が違って聞こえる場合の音の違いについては測定では示せないということでしょうか、それとも示せるということでしょうか。私は、この場合に「測るべきもの」が何なのか特定することが難しく、測定で差を示すことはいまのところ難しいと考えています。

 さて、議論の内容がタコツボ的になり、方向性がわからなくなってきます。
 そもそも何の話だったかというと、私が、オーディオケーブルで音が変わる理由を書き、ひきつづき高音質ケーブルの条件について考察したものがこのエントリーでした。
 このエントリーに対してRSOさんから、「人間の聞き取れる違いは測定に現れるから測定してみればよい」というコメントを頂いたわけです。
 もしかして、測定でわかるという発想が出てくる背景には、

「ケーブルで音が変わる原因はケーブルのL,C,R,表皮効果などの電気的性質である」

という思想があるのではないでしょうか。その思想によるならばケーブルによる音の違いは周波数特性や位相遅れとして観測できるので、人間の可聴限界以下までの評価が可能かもしれません。しかしケーブルによって音が変化する原因について、電気的性質の寄与分は小さいのが実態ですので、測定を考えるなら正しい原因に合わせた方法を考える必要があります。仮に測定によって音の差を示すことを試みるならばケーブルによって音が変化する主たる原因は振動なのですから、振動による影響を抽出する測定方法を考えるということになろうかと思います。

 スピーカーケーブルについては特殊事情があり、スピーカーケーブルの電気抵抗によってダンピングファクターが変化することによる音の変化があります。これだけはケーブルの電気的性質が音に大きく影響する例外です。

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