ケーブルで音が変わる理由6 縦振動仮説について
ケーブルで音が変わる理由シリーズです。
前回記事から1か月以上たってしまいました。
ここまで書いてきた内容は次のリンクの通りです。。
・LCR表皮効果などの電気的特性による音の変化は小さい。少なくとも音が変わる主要な要因ではない。(スピーカーケーブルの抵抗によるダンピングファクターの変化によるものを除く)
・思い込み(心理効果)による音質の変化は限定的と考えられ、ケーブルで音が変化することの主要な原因とはならない。
・振動を原因として、ケーブルによる音質変化が起こっていることは、多くの根拠により確実である。
・ケーブルの横振動(ケーブルに直交する方向、たとえばケーブルが水平な床に這っているなら上下左右方向の振動)が音質に影響しているとは考えられない。
ということで、オーディオにおいて、ケーブルで音が変わる原因となる可能性が残るものは、由井社長が主張する縦振動(粗密波)となります。
オーディオにおいて由井社長が言っていることをタイムドメインのfacebookから引用してみます。
縦振動は線や剛体の中を伝わる圧力波ですから。音質を損なうのは縦振動です。エレメントに電気(音声信号など)が加わると、応力(圧力=P)が生じます。抵抗、コンデンサー、半導体、導線(被覆)、圧電効果、熱電効果、電磁効果etc.この縦波(P波)が配線や構造体を伝わって他のエレメントに加わると電気を発生します。可逆反応。これが信号を壊します。色付けと言う場合もある。縦振動は殆ど減衰しないで伝わる、殆どの金属線では0.1dB/100m。線では拡散しないからだが、パネルや構造体でも拡散しないから同じ。配線を伝わるのは、電気と縦振動です。電気のことだけを考えて導体を伝わる縦振動を考えている人はまれです。配線やケーブルで音は変わりますが、殆どは電気特性では無く、機械特性です。電気は配線やプリント基板では銅箔で伝わりますが、機械振動は導体で無くとも伝わるので厄介です。
引用の通り、由井社長はその機構としてはコンデンサー等の圧電現象等により、振動が電圧に変換、または、電圧が振動に変換されることにより、音質の変化が起こるとしています。
確かに、コンデンサーは圧電効果が問題となると一般にもみなされている部品ではあります。由井社長はコンデンサーが特に厄介であるとしながらも抵抗や半導体にも(さらには導線やその皮膜にも)圧力と電圧の変換効果を認めています。
この結論にどのように至ったのかは詳しく書かれたものを見たことはありませんが、機器内の素子で発生している振動音を聴診器で確認しており、その音がスピーカーからの再生音に乗っていることも聞き取っているようです。ですので、機器内の部品の振動が再生音に重層していることは間違いない事実なのでしょう。このことはインシュレーター等により機器の振動対策を行うと音質が変化することと調和的です。
この仮説によれば、ケーブルの交換によって音質変化を生じる機構は次のようにまとめられると思います。
・電圧によって、機器内部において振動が発生する。
・機器内部によって発生した振動や外部からの振動により、機器内部において(不要な)電圧が発生する。
・ケーブルは機器内部やスピーカーで発生した振動、または壁(コンセント)の振動を縦振動(粗密波)の形で別の機器に伝達し、振動が伝達された先において(不要な)電圧が発生する。また、振動がケーブルを伝わる間にケーブルの機械的特性により、振動の波形が変化する。
このように考えることにより、音の良いケーブルとは縦振動を伝えにくいケーブルであるといえるのではないかと思っています。なお、ケーブル構成する導線および皮膜においても圧力と電圧の相互変換が生じているとの考えもあるようですが、それについては別に書きたいと思います。
ここでは、ケーブルにより音質が変わることの原因が縦振動であることの積極的な根拠について挙げていきたいと思います。
ブレーカーにレゾナンスチップを張り付けるとオーディオの音質が変わるという現象があります。これは振動が音に影響している証拠ですが、ブレーカーからオーディオ機器までの距離を考えれば、その振動は、長距離を伝わりやすい縦振動と考えた方が説明しやすい。
オーディオ機器への給電にクリーン電源を用いている場合、クリーン電源と壁コンセントの間の電源ケーブルを変更しても音が変わり、また、その壁コンセントのコンセントプレート(コンセントベース)を変更してもまた音が変わります。クリーン電源よりも上流側にあるケーブルに流れる電気的ノイズや横振動は、クリーン電源のところで減衰し、下流側のオーディオ機器に伝わる量はわずかとなりますが、縦振動であればクリーン電源装置を通って伝わることができるため、このような音質変化を説明することができます。
音質の変化をもたらすケーブルの種類は特定のものに限られず、アナログケーブルでも、同軸デジタルケーブルでも、USBケーブルでも、LANケーブルでも、電源ケーブルでも音が変わるわります。電気的性質によって音が変わる原因を説明しようとすると、ケーブルにより異なる機構を考える必要が出てきてしまいます。一方で振動が原因と考えれば、すべてのケーブルで音質が変わる理由を統一的に考えることができます。
固いケーブルは固い音がする、ケーブルに金属箔を巻くと金属的な音になるなどケーブルの質感と音質には相関があります。金属箔をケーブル延長方向に伝わる縦振動が影響していると考えるならば、それは金属を伝わる音波そのものであり、このような現象もケーブル延長方向の縦振動が影響しているとの仮説と調和します。
以上により、ケーブルで音が変わる原因が縦振動である仮定すると、そのことによって説明できる現象が多々あり、かつ、電気的性質や心理効果などほかの原因が少なくとも音質変化の主たる原因とは考えられません。ですので、ケーブルによって音が変わる理由は縦振動であるとの仮説は妥当なものであろうと考えます。
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