マザーボードの音質比較について
PCオーディオに取り組むものとして、どのようなマザーボードが高音質であるのかは重要で興味深い問題です。しかし、マザーボードの比較試聴は作業が面倒、コストがかかる、マザーボード以外の条件をそろえにくいなどの理由でなかなか行えず、比較試聴記なども少ない現状があります。
そのような中で「かないまる」氏は自身のホームページの中で多くのPCパーツを比較した経験からの高音質PCの組み方を紹介しています。このコーナーは2010年に開設されたものですが、現在なお出色の出来となっています。
マザーボードについては高音質の条件として、オンボードグラフィック(ビデオカードレス)であることとATX4P電源コネクタと20P電源コネクタが近いことがあげられています(20Pと4Pが離れていると大きなグラウンドループを形成するため)。またこれらが離れている場合でも
「4Pコネクタが板端に近い場合は、4Pのほうの配線をなるべく基板の端に近付けて通して20Pコネクタのところにもってくるとグラウンドループがつぶれて音質がよくなります」
と書いています。
http://kanaimaru.com/pc5_yakipaso/0f.htm
私の場合はこの記述を参考に、マザーボードの変更は大変なので、より効果がありそうなものとして20Pと4Pを別電源(別バッテリー)とする方法 を採ってみて、大きな音質向上効果を得ました。
では少ないながらも存在しているほかのマザーボード比較試聴記ではどうなっているのか、改めて確認して見ました。
juubee氏のサイトにある2009年の記述です。
2009/5/10ATOMに触手は動かないと言ったものの、そういう下心を持って購入した会社のPCなので、本来の用途に使う前に試しておくのもいいだろう。PC-Audioに用いて、環境の違いがどう音に出るか、簡単に比較した。M/B、CPU、MM、の順に書くと1、自作PC (現在の普段PC)ASUS P5QIntel Core2Duo E8400 WolfdaleDDR2 PC2-6400 1G*22、minipc.jp MA330Intel D945GCLF2Intel Atom330 1.6GHzDDR2 PC2-4300 1GB3、自作PC (以前の普段PC)ASUS TUSL2-CIntel Celeron 1.0A TualatinSDRAM 512MB4、minipc.jp ES600VIA EPIA-PDVIA EDEN 600 Samuel2DDR PC2700 256MB電源はSeasonic SS-550HTに統一、OSはXP Pro SP2 を新規にインストールしてパフォーマンス優先にしただけ、サウンドデバイスはM-Audio TransitUSBを用い付属のASIOドライバーを使用、再生ソフトはfoobar2000。S/PDIFアウトをCDR630に繋ぐ。結果は、1 < 2 << 3 << 4 。予想通りだ。
P5Qの画像
asusのホームページより
https://www.asus.com/media/global/products/BxdaHYTJECBvPJ3k/yN6UXtBkmWwlAxWF_500.jpg
minipc.jp MA330の画像
PCウォッチより
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0925/tawada152.htm
ASUS TUSL2-Cの画像
何のサイトか分かりませんでしたが、画像はこちらから
http://www.fhshh.com/review-board-asus-tusl2-c-for-tualatin.html
ES600 EPIA-PDの画像
画像は販売店アユートのホームページより
http://www.tekwind.co.jp/backup_uc/backup_unity/products/via/detail/epia-pd/epia-pd.html
画像を見ていくと分かるのですが、3と4は電源が20Pのみで4Pがないマザーボードであり、1と2はATX4Pが付いているマザーボードです。そして1は20Pが中ほどにあり、2は4Pが中ほどにあるので電源ケーブルの取り回しによる工夫もしにくい形となっています。juubeeさんとしては古いロースペックなものが音が良いという趣旨で書いているのですが、結果的には4Pのありなしの比較となっています。
複数枚のマザーボードの音質比較としては他にESPRESSIVO SOUNDさんが実施した記事があります。(http://espressivosound.sblo.jp/article/76604184.html)
こちらの記事では
・ASUS H87I-PLUS
画像はこちらから
https://www.asus.com/jp/Motherboards/H87IPLUS/
・ASRock Z87E-ITX
画像はこちらから
https://www.amazon.co.jp/ASRock-%E3%83%9E%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89-HASWEL%E5%AF%BE%E5%BF%9C-MiniITX-Z87E-ITX/dp/B00CYA5FSG
・GIGABYTE Z87N-WIFI
画像はこちらから
http://www.gigabyte.jp/Motherboard/GA-Z87N-WIFI-rev-1x#ov
・MSI Z87I
画像はこちらから
http://www.anandtech.com/show/7244/msi-z87i-review-miniitx-haswell-for-140
という4枚のマザーボードを比較しており、このなかでASUS H87I-PLUSが最もよいとしています。次いでASRock Z87E-ITX、さらに少し音質が落ちるMSI Z87I、最も音質が低いGIGABYTE Z87N-WIFIとなっています。
マザーボードの画像を見比べると20Pはどれもマザーボードの端にありますが最も音質評価の高いASUSだけが4Pも端近くにあります。他3枚はATX4PまたはEPS8Pが中ほどにあります。この比較試聴結果も、4Pの位置の違いによる大きな影響を確認したものと考えられます。
別のサイトでマザーボード音質比較をしたものとして、http://monolith-theater.net/oldsite/motherboard1.htmlが知られていますが、こちらで比較している2枚については20Pと4Pの位置関係が似ており、別の要因での音質変化となっていると思われます。
どのようなマザーボードが音が良いのかという問題はPCオーディオに取り組むものとして興味深いものであるのですが、現状発表されている音質比較を調べていくと見ていくと、かないまる氏が指摘するとおり20Pと4P(または8P)の位置関係による音質変化が大きいことが確認できました。その一方で20Pと4Pによる音質変化を意識していない比較試聴となっているために、それ以外の要素による変化は全く調査できていない状況となっています。20Pと4P位置以外の要素による影響を判断するためには、20Pと4Pを別電源として比較することが望まれます。
« 卑弥呼は前方後円墳に葬られたか | トップページ | ONKYO CR-555をサブシステムに導入 »
「オーディオ」カテゴリの記事
- CDトランスポーター/リッパーが発売(2024.12.20)
- Philewebコミュニティがサービス終了へ(2022.06.03)
- 自宅大改築(2021.07.23)
- ダイアトーンのカーステレオ続編(2021.02.03)
- ケーブルで音が変わる要素全体論(2021.01.16)
「PCオーディオ」カテゴリの記事
- CDトランスポーター/リッパーが発売(2024.12.20)
- AirMacExpressの外部クロック的利用(2012.03.15)
- シールドメッシュの見た目改善(2020.11.19)
- USBサウンドデバイスが認識しなくなった(2020.08.28)
- USBサウンドデバイスの2台接続はWindows10でも有効か?(2017.07.02)
はじめまして。EaseUS SotwareのTeiと申します。
失礼ですが、メールアドレスなどのご連絡先をいただけませんでしょうか。
弊社のバックアップソフトのレビューのご執筆をお願いしたいんですが…
恐縮ですが、メルアド:teiisyou@easeus.comまでご連絡いただけませんでしょうか。
お手数ですが、ご覧になったら、このコメントを削除していただけませんか。
投稿: Tei | 2017年3月21日 (火) 17時39分
当ブログのこの記事へのコメントとしてバックアップソフトのレビュー依頼とは意味が分かりません。何故私に依頼するのでしょうか。
また、コメントを消せというのもよく分かりません。どうしてもならば理由を教えてください。それまでは削除を差し控えます。
投稿: よんまる | 2017年3月22日 (水) 12時30分
音質重視のマザボの選び方は非常に難しいです。ネックとなるのが、CPUのソケット形状で選ぶCPUが決まってしまうのと、グラボの問題です。
特にグラボは性能云々関係無くPCIeの16レーン分の帯域幅を使うので、グラボを使うだけで音質が落ちます。それ故に、PCの世界では、昔から高性能グラボを選ぶのが王道になっています。
また、GPU搭載のオンボードマザボは最近はあまり出回っていないので、音楽専用PCのマザボを選ぶ場合は、画面の動作が不安定になりやすいですが、グラボ自体を使わずにリモートデスクトップアプリをインストールしてスマホなどで操作するか、GPU内蔵CPUを使うか、このあたりになるかなと思います。
投稿: 虎魂王 | 2017年5月 8日 (月) 17時39分
虎魂王 さん
本当に難しいですね。私の場合は電源が重要だろうということで、電池駆動がしやすい省電力のマザーボードということで選択しました。
投稿: よんまる | 2017年5月10日 (水) 20時54分
以前にPhileWebでコメントして頂いたしゅんかんです。
丁度4pinを別電源化して試しているところでこちらのブログにたどり着きました。
4pinを別電源化したら大化けしました。
ACだけしかノイズ対策してないACアダプタ電源を使ったのですが、USB-DACへのノイズが減ったようです。 音が良くなってます。
4pinの系統で大きなノイズを発生しているのは気づいてました。
そのノイズがUSBまで届かなくなったという印象を受けてます。
ノイズ発生源から分離したのかなと感じてます。
電気的には繋がったままなのですが、ノイズを含む電流経路がUSB側から離れたところに形成されたのでは? と思ってます。
たぶんマザーボード上のGNDパターンの引き回し方に依存すると思うので、いくつかのマザーボードで試してみようと思います。
投稿: しゅんかん | 2018年4月29日 (日) 04時26分
しゅんかんさんこんばんは
4Pの別電源化を試されて効果があったとのことで何よりです。
やはりいろんなマザーボードで効果があるようですね。
音質の高いGNDパターンがわかればいいですね。
投稿: よんまる | 2018年4月30日 (月) 00時06分