AA誌の連載「ケーブルを科学する」
前回書いたとおり、今季は久しぶりにオーディオアクセサリー誌を購入しましたが、そのなかに今回から始まった連載である「ケーブルを科学する」という記事が載っています。
第1回である今回はケーブルに使われる導線の組成や製法等に関する解説であり、興味深く読んだ方も多かったのではないでしょうか。読みやすくまとめてあり、よく話題になる導線がどのようなものかが分かり易い記事となっており、とても良い記事だと思いました。
記事の終わりのほうにアニーリングに関する解説があり、アニーリングすることにより格子欠陥が消失し電気抵抗が減少すること、PCOCCは硬質でハイ上がりな音であったものがアニーリングを施したPCOCC-Aでは良好な音質となったことが説明されています。
ところがその後で、シレっと間違ったことが書かれています。P333の下から2段目の文章です。
PCOCC-AはPCOCCよりも導電特性の向上する実測値(I.P.P.S.でPCOCC-Aが101%、PCOCCが98%)も公表されていることから分かるとおり、焼きなまし処理による導電性自体の向上が音質向上に繋がったのは間違いない。
と書かれていますが、
1.アニーリングにより、導電特性が向上する。
2.アニーリングにより、音質が向上する。
という2つの事実は確かではあっても、2が1の原因であるという根拠はなんら示されておらず、この文章は少なくとも確実に正しいとはいえません。音質向上の真の原因を考えていかなければ、ケーブル業界の迷走は当分続くのではないかと思います。
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