呉座勇一 「応仁の乱」

画像はアマゾンより
「応仁の乱」といえば、ほとんどの日本人が知っている有名な戦乱ですが、その経緯は複雑であり、内容について詳しく説明できる人は多くありません。そんな応仁の乱について、歴史学者の呉座勇一氏が自身の研究をまとめた新書が本書です。
呉座氏は新書として出版を決めたとき、専門的な内容であるため「あまり売れないだろう」と予想したそうです。しかし、発売してみれば専門分野を扱った新書としては異例のベストセラーとなりました。私の手元にある本は2017年9月5日発行の26版ですが、初版の発行は2016年10月25日であり、非常に速いペースで増刷されたことが伺えます。
本書は、応仁の乱のすべてを網羅することを目指していません。その代わりに、興福寺の僧である経覚(きょうがく)と尋尊(じんそん)の先輩後輩コンビが遺した日記をベースに組み立てられています。2人の日記を中心に据えることで視点が固定され、複雑な戦乱の見通しが良くなり、格段に読みやすくなっています。また、彼らや周囲の人物が何を考え、どのように生きたかを描き出すことに重点が置かれており、著者の高い文章力と相まって、まるで小説のような生き生きとした記述になっています。本書は一般向けとはいえ専門書であって小説ではありませんが、アマゾンの購入者レビューにも、小説と誤解して投稿してしまっているものがあるほどです(そのレビュアーは、最後まで小説だと思って読んだのでしょうか)。
それでも専門的な内容であることには変わりはなく、登場人物も多いので「読み進めるのが大変」という側面はあります。万人にお勧めできるものではありませんが、応仁の乱に興味があり、専門家による本格的な歴史書を読んでみたいという方にはぴったりの一冊です。登場人物が多い点についても、歴史小説ではよくあることなので、普段から歴史小説を読み慣れている読者であれば特に問題なく楽しめるでしょう。





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