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2026年7月20日 (月)

呉座勇一 「応仁の乱」

画像はアマゾンより

 「応仁の乱」といえば、ほとんどの日本人が知っている有名な戦乱ですが、その経緯は複雑であり、内容について詳しく説明できる人は多くありません。そんな応仁の乱について、歴史学者の呉座勇一氏が自身の研究をまとめた新書が本書です。

 呉座氏は新書として出版を決めたとき、専門的な内容であるため「あまり売れないだろう」と予想したそうです。しかし、発売してみれば専門分野を扱った新書としては異例のベストセラーとなりました。私の手元にある本は2017年9月5日発行の26版ですが、初版の発行は2016年10月25日であり、非常に速いペースで増刷されたことが伺えます。

 本書は、応仁の乱のすべてを網羅することを目指していません。その代わりに、興福寺の僧である経覚(きょうがく)と尋尊(じんそん)の先輩後輩コンビが遺した日記をベースに組み立てられています。2人の日記を中心に据えることで視点が固定され、複雑な戦乱の見通しが良くなり、格段に読みやすくなっています。また、彼らや周囲の人物が何を考え、どのように生きたかを描き出すことに重点が置かれており、著者の高い文章力と相まって、まるで小説のような生き生きとした記述になっています。本書は一般向けとはいえ専門書であって小説ではありませんが、アマゾンの購入者レビューにも、小説と誤解して投稿してしまっているものがあるほどです(そのレビュアーは、最後まで小説だと思って読んだのでしょうか)。

 それでも専門的な内容であることには変わりはなく、登場人物も多いので「読み進めるのが大変」という側面はあります。万人にお勧めできるものではありませんが、応仁の乱に興味があり、専門家による本格的な歴史書を読んでみたいという方にはぴったりの一冊です。登場人物が多い点についても、歴史小説ではよくあることなので、普段から歴史小説を読み慣れている読者であれば特に問題なく楽しめるでしょう。

 

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2026年5月30日 (土)

皇室典範改正議論に見る「二つの案」の本質と隠されたリスク

 皇室典範改正に向けた検討が続いています。先日も衆参両院の議長らによる取りまとめ案の提示が慎重論によって来月に持ち越されるなど、水面下での調整が難航しているようです。報道によると、国会側は「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧宮家の男系男子を養子に迎える案」の2案を軸に調整しているとされています。しかし、これらの議論には本質的な問題が見え隠れしています。

 

1. 議論のすり替えと「女性皇族の残留案」が持つ真の狙い
 本来、皇室典範改正の最優先目的は「安定的な皇位継承候補者の確保」であるはずです。ところが現在の議論では、それとは別次元の「公務の担い手確保」という問題が混同されているように見えます。
 確かに公務の担い手減少を防ぐことも重要です。しかし、単に公務の担い手を確保したいだけであれば、ご結婚によって皇籍を離脱された元皇族の方々に「業務委託」という形で公務をサポートしていただく体制をつくれば十分に対応可能です。そのための制度設計や柔軟な運用は決して不可能ではありません。
そもそも、女性皇族がご結婚後も皇族として残られたとしても、そのお子様に皇位継承権を認めない限り、本来の目的である「皇位継承候補者の確保」には全く繋がりません。にもかかわらずこの案が推される背景には、将来的に「女系天皇」への道を開く布石にするという意図があるのではないかと考えざるを得ません。

 

2. 「旧宮家の養子案」に潜む国民の皇族化リスク
 一方、旧宮家の男系男子(旧皇族)を皇族の養子に迎える案は、伝統である「男系継承」が維持されるため、一見すると有効な解決策に見えます。しかし、ここにも見過ごせない危険が存在します。
 現在、旧皇族の方々の法的な身分は一般国民です。憲法14条との関係を考えれば、皇族が養子を迎えるための法改正を行うとなれば、必然的に「一般国民から養子を取ることを可能にする条文」にならざるを得ない懸念があります。「皇統に属する男系男子に限る」という条件は条文に明示されない暗黙の前提にしかなりません。将来的にその運用が変質しないという保証はありません。最悪の場合、時の政権や運用のさじ加減によって、純粋な一般国民が皇族に入り込んでしまう道を開くリスクを孕んでいます。

 

 本当に望まれるべき「旧皇族の皇籍復帰」
このように、現在提示されている2案はいずれも決定的な課題やリスクを抱えています。
本来、最も筋が通り、伝統を守るために望ましい解決策は、11宮家が皇籍を離脱させられた歴史を正し、旧皇族を「復帰」させることです。この最も本質的な選択肢が、現在の検討の舞台にすら上がってこない現状は、残念というしかありません。

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2026年5月 7日 (木)

南川高志・「新・ローマ帝国衰亡記史」

新・ローマ帝国衰亡史

画像は岩波書店のサイトより

 

 歴史学者南川氏によるローマ帝国衰退の歴史をまとめた新書。ライン川、ドナウ川北方の諸民族との関連を中心に描かれている。最盛期のローマ帝国北縁の辺境地帯は、明確な国境がなく、周辺諸部族の出身者もローマ市民として寛容に受け入れていたとのことである。ローマ帝国社会が変質していった結果として、周辺諸民族との関係が変化し、帝国は自壊したとする。西ローマはこの傾向が強かったことと、歴史的な経緯により皇帝権力が東ローマ弱かったことにより早期に滅亡したと述べられている。

 歴史に関する書籍の常として人物名が多く読むのがなかなか大変ではあるが、生き生きと描かれていおり、読みやすく仕上がっている。引用文献が省略されているため、どの部分が著者独自の見解なのかがわかりにくいが、筆者の歴史像はよく理解出来、面白く読ませていただいた。

 

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2026年4月17日 (金)

中道衆院選総括

提案型「建設野党」へ転換 中道衆院選総括、党名変更に言及

配信
 中道改革連合は14日、議員懇談会を国会内で開き、惨敗した2月の衆院選の総括を巡り議論した。執行部が提示した文案は「選挙目当ての急造新党」との見方を払拭できなかったと指摘。政権批判がメインの旧来型から政策提案を重視する「建設的野党」へイメージを刷新する方針を示した。将来的な党名変更の可能性にも触れた。
以下略
ソースはこちら
 中道改革連合の選挙総括が出ました。選挙敗北の原因は「選挙目当てとの印象」、「政権批判メインの印象」、と「印象」に責任をすべて押し付けているように見えます。まあ間違えとも言えないのですが、「選挙目当て」「政権批判メイン」は印象だけではなく事実でしょう。選挙後の国会論戦でも、中道改革連合が取り上げていたのは3万円のカタログギフトなどで、さしたる問題のないところをスキャンダルに仕立てることに躍起になってました。相変わらず批判メインで、それもショボい批判に終始していたと思います。
 自民党に代わる政権を目指してきた政党群は長年の間、現実的路線の「非自民」か批判中心の「反自民」かで揺れ動いていました。かつての日本社会党は「反自民」でありましたが、その主張の内容は社会主義をバックボーンとするリベラル政策であり、政策論争にはなっていたと思います。社会党は多数の支持を得ることはできませんでしたが、国民の一定の理解はあり、政府自民党の政策にもそれなりに反映されていました。
 その後は、野党は自民党の基本政策を引き継いだ別の保守新党を作って政権を奪う「非自民」路線を取りましたが、長続きせず、第1次安部政権あたりからは、反自民的な路線に回帰していました。「反自民」とは言っても社会主義に代わるバックボーンはよわく、思いつきレベルのリベラル的政策を打ち出してはいましたが、政策への期待はさほどではなかったように思います。結局は、 佐川急便事件というスキャンダルから政権交代へとつながったかつての成功体験に依拠した、スキャンダル探しが中心となりました。民主党政権を経て、現在の中道改革連合でも、それは続いています。
「建設的野党」とは言っても掛け声倒れに終わる可能性は高いでしょう。

2026年4月13日 (月)

高市政権発足から約半年

 高市政権発足から約半年、令和8年度予算が成立し、一つの区切りを迎えました。政権発足以降、ガソリン減税や国立大学運営交付金増額など、なかなか動かなかった課題への素早い動きが見られました。今後に期待するところです。真偽のほどは私には判断できませんが、外国人問題が顕在化する中、入管の対応の改善や在留資格の厳格化の検討といった情報も入ってきます。


 しかし、令和8年度予算は主に石破政権下で編成された緊縮型予算であることや、健康保険の高額医療費引き上げと言う改悪、防衛増税の実施なおこれまでも負の置き土産が多く実行されてしまいました。外国人政策も、制度上は変化が見られない、消費税減税の具体的実現がまで見えないことなど、今後に期待しなければならない課題が山積しています。

 次年度予算や今後の制度改正がどうなるか、注目し、日本国民のための政策が実行されるように、世論の盛り上げが必要です。

 

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2026年3月 1日 (日)

超巨大噴火と生命進化

 国立科学博物館において2016年~2021年に実施されたプロジェクト研究「化学層序と年代測定に基づく地球史・生命史の解析」の内容の一部分を一般向けに新書化した書籍です。

 地球史の中で5回起こった生物の大量絶滅の原因を中心に解説しており、巨大噴火の寄与について、論じられています。最近の研究成果に基づいて、一般読者にもわかるように書かれています。日本の新書のありがたいところです。

 

画像はアマゾンより拝借

 

 著者である佐野氏は火成岩岩石学の専門家です。特にLIP(巨大火成岩岩石区)について研究を行っており、海洋地域のLIP(海台)であるシャツキーライズやオントンジャワ海台について多くの論文を発表しています。

 本書の内容は古環境学や古生物学の成果が中心ですが、佐野氏はこれらの専門家ではありません。最近の研究成果の紹介としては十分すぎる内容だと思いますが、複数の仮説を淡々と紹介した淡泊な記述となるきらいがあり、もう一つのめりこめない感じがありました。大量絶滅の原因はまだわからないことが多く、断定的には書けないためにやむを得ないとは思います。しかし、古環境や古生物の専門家であれば「断定できないが私はこうだと思う」的な書き方ができて、もっと読みやすくなった可能性はあると思います。共著にはできなかったのでしょうか。

 

 この分野に強い関心がある高校生・大学生・一般人や周辺分野の専門家にはお勧めでしょうが、一般教養として読みたい向きにはもう一つかもしれません。佐野氏は2015年にLIPについての一般書、「地球を突き動かす超巨大火山 : 新しい「地球学」入門」を書いていますが、本書に書かれているような最新知見を盛り込んだ、LIPについての解説を中心とした新書を個人的には期待します。

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2026年2月 7日 (土)

選挙予想

 明日は総選挙ですね。

 各調査からは高市自民党が勝利する予想が出ていいますが、結構予想幅が大きい気がします、また、選挙結果予想記事の書きぶりも慎重なように思えます。

 世論調査結果からの選挙結果予想は生の数字から回答世代、性別などの偏りを補正しますが、政党ごとの回答における投票予定と実際の投票の相関も考慮するようです。例えば、世論調査と実際の得票の関係から見ると、公明党や共産党の場合、実際には投票するつもりでも、調査には投票すると回答しない傾向が強いようです。選挙結果を予想する場合、こういった要素によって補正をかけるのでしょう。

 

 今夏の選挙では、公明党議員と立憲民主党議員の大半が中道改革連合に合流し、新党を結成しました。この中道改革連合について、世論調査の支持の割合と実際の投票における支持の割合が読みにくいということが予想を難しくしているのだろうと考えられます。

 

 

2026年1月27日 (火)

AIの露骨な間違い

 近年著しく進化し、どんどん便利になっているAI。言わずもがなですが、調べ物に使う場合は、裏をとる必要があります。最近は、大学のレポートなどでも盛んに利用されているようですが、出典が不明だったり、リンクが示されていてもリンク先を見てみると関係の無い情報を参照していることがしばしばあります。

 

 最近AIの露骨な間違いに出くわしたので紹介します。

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 オーケストラアンサンブル金沢の指揮者である、広上純一氏についてです。私は直接見たこともあるのですが、小柄な方です。写真からも想像できると思います。ところが、グーグルのAIは「広上純一の身長は187cm」との驚きの回答を出してきます。さらに、その長身を生かして云々・・・というもっともらしいエピソードまで。

 元ネタを探ってみると、どうやら広上氏だ出ている番組でアンサンブル金沢の別の指揮者である松井慶太氏を取り上げた回があることがわかりました。松井氏は身長187cmなので、これがおそらくAIの情報源であるようです。

 AIはネット上に正解が多く出回っている問題については適切にまとめてくれるようになりましたが、情報が無い、または少ないも野についてはしばしばおかしな答えを出すようです。

 

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2026年1月26日 (月)

昨日はまとまった雪、”共通一次は雪が降る”は健在

 昨日(2026.1.25)の朝はかなりの雪となり、自宅でも60cmくらい積もっておりました。

 この週末(1.25~1.26)はかつて国公立入学区のための、共通一次試験が行われた日程であります。

 共通一次時代は試験対象が国公立のみでしたが、大学入試センター試験に移行する際(1991年1月)に私立大学も参加加能となったことから試験日程が1週間前倒しとなりました。大学入試共通テストとなった現在も、この日程が引き継がれ、今年についても1.17~1.18にかけて試験が実施されました。

 旧共通一次の日程は「大寒」近く、雪が降りがちなことは必然ですので、天候的にはこの日程変更はよかったのであろうと思います。

 

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2025年12月29日 (月)

2026年度当初予算は黒字、さらなる財政出動が望まれる

 先日(12/26)、国の2026年度予算が閣議決定したとのニュースが流れた。報道は、やれ過去最大の規模だの、30兆円を超える巨額の国債費(国の借金返済や利払いに充てる費用)だのと国の財政不安をあおることに力を入れています。

2026年度予算案

画像はhttps://news.yahoo.co.jp/articles/716218ccc1034634332c59f0b5c81a006950a855/images/000より

 しかし、よく見ると"新規国債発行額"が"国債費"を下回っています。つまり借り入れよりも返済が大きい黒字予算であり、国の累積債務は減少しているはずです。税収と税外収入により国債費以外のすべての歳出を賄っているものであり、PB黒字化を達成しています。

 このため、世の中に存在している日本円の量は減少することとなり、経済にはマイナスが懸念されます。責任ある積極財政を掲げる高市政権ですが、石破政権下でシーリングなど予算の大枠が固まっていたため、石破政権の緊縮職を払拭できなかったのでしょう。早期の大型補正予算による財政出動が望まれます。

 

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